新年おめでとうございます。オハナクリニック、医師の太田恵美(えみ)です。元旦より、ライトハウス誌上に、コラムを掲載させていただく事になりました。日本では、信州大学病院で外科医として働き、ハワイでは、クイーンズ病院、カピオラニ病院等で家庭医学の医師として働いた経験を生かし、病気に対する日米のアプローチの違いなども交え、健康に関する事、色々な病気に関する事をわかりやすく、書いていきたいと考えています。
今年、初めての号では、今年、平穏で、健やかに暮らすために、大切ながん検診の話を書かせていただこうと思います。

日本では、全国で統一した検診システムはありません。検診は市町村などの各自治体に任せられていたり、また、大きな会社等では、会社の福利厚生の一環として、職場で検診を行ったり、人間ドックに職員が参加する事を推奨する事もあります。女性の方は、定期的にお住まいの地域の市役所などから、葉書を受け取って、乳がん検診や子宮がん検診を受けにいった経験がある方も多いと思います。

アメリカでは、日本のように、地域や職場の呼びかけで、検診に行くことはありません。子供の頃は、学校入学やスポーツに参加するためのに、一年に一回くらいは、Physical exam を受ける機会がありますが、大人になってからは、よほどの事がない限り、医者にはかからない人も多いと思います。そのため、がん等の病気を早期発見するための検診も、個人の自覚と判断に任されています。アメリカのシステムの利点は、ガイドラインに沿った検診(例えば、乳がんに対するマンモグラム)は、医師が検査目的を明記してさえいれば、すべての保険でカバーされます。医療保険は病気になった時のみ使うものでは無く、病気を早期発見したり、病気にならないように使うものでもあります。このコラムでは、最新のアメリカのがん検診のガイドラインをお伝えしたいと思います。検診は、まさに、転ばぬ先の杖。正しい知識で、賢く、保険を利用しましょう。

 

太田恵美 M.D., Ph.D. Emi Ota, M.D., Ph.D.

長野県出身。米国家庭医学専門医。ハワイ州医師。香川医科大学(現香川大学医学部)卒業後、信州大学医学部外科学第2講座入局、外科医として、信州大学病院で、肺がん、乳がん、甲状腺がんなどの治療に従事する。その後、渡米し、がん研究の名門、メリーランド州、ジョンホプキンス大学医学部がんセンターで、研究員として、肺がんの臨床研究に従事する